未来23-009

【事例の紹介】

COVID-19と診断され、自宅療養中だった●歳代のAさんは、呼吸状態が悪化し、当院に緊急搬送となった。標準的治療を行うも効果が乏しくV-V ECMOによる重症者管理となった。

患者は両親と同居していた。両親とも濃厚接触、また、母親は他の中核病院へcovid-19のため入院となった。一時的に改善の兆しが見られたが、循環不全が起き始め、腹臥位など効果的な呼吸理学療法が行うことができなくなった。そのなかでも看護スタッフ、医師、理学療法士などでより効果的な呼吸理学療法などを模索しながら循環、呼吸管理をおこなっていたが改善なく永眠された。

【課題】

日常より当院ICUは院内の重症患者のみではなく、他病院よりも搬送されてくる重症患者や、緊急の心臓手術なども看ている状況であった。そんな中、隔離された個室を作りCOVID-19の治療管理を同時に行わないといけない状況になってしまい、COVID-19の患者だけに限られた医療資源の中、母親も感染して入院中、父親も自宅隔離のさなか、Aさんの状況についてご両親へ看護師よりも毎日情報提供を行った。多くの診療科の医師をはじめ他職種で、治療介入を行っていたが効果が乏しく、看取りの状況も考えられる中でどのようにご家族(特に両親)と本人をつなげていくかが課題となった。

【実施した介入】

緊急事態宣言後、面会禁止になった当初より、時間を決めてICUに入室した患者の日々の状況をご家族へ電話で伝えていた。しかし、より患者とご家族の関係、また医療スタッフとの関係を築きたいとの思いで、早期にビデオ面会(face time,google meet,ZOOMなど)の方法のパンフレットを作成し、入室前にご家族、本人へと説明をおこなっていった。

本事例において、母親は他病院入院中であったでビデオ通話を利用して本人の状況をみていただきながら情報提供を行った。移動禁止のなか他県へのご家族へもビデオ面会の調整を行った。

スタッフが限られる中、理学療法士、集中治療医師、呼吸器内科医師とともに腹臥位などのシミレーションを行った。また、高度肥満な方も多くそためその人の体格に適した体位を工夫しながら動画や画像に残し、すべてのICUスタッフで呼吸理学療法の情報を共有した。

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